>建物概要<
「食・浴・視・寝 住宅」のコンセプトに基づいて計画した、自宅兼アトリエです。
敷地はのどかな高台にあり、ロードバイク、カヌーなども楽しめる桜の名所に近い好立地です。まず、「食べる・視る」空間の中心にデッキテラスへの大開口に面したオープンキッチンを据え、アウトリビングも楽しめるようにしました。「入浴する」は光庭に面した一歩下がった場所に設けています。一方、「寝る」は2階にあって外から視線が届かない完全プライベート空間ですが、1階の吹抜けと一体化して家そのものが一室空間となるようにしました。内装は全体を吸着効果・通気性の高い安全素材で仕上げています。夏には深い庇や大きな窓が、冬には太陽熱を蓄える床と深夜電力による蓄熱暖房が、暑さ・寒さを和らげてくれます。また、食卓の傍らに置いたオーブン付き薪ストーブは、オール電化住宅の中に「炎」の暖かさと説明不要なおいしさをもたらしてくれる重要なアイテムとなりました。なお、アトリエ、外トイレは分棟として、職住一体の中にも緊張感を持たせています。
>施主様からの声<
家づくり継続中ですが、ここへ来てから夫とコーヒーを楽しむ時間が多くなったことを不思議に感じています。建築家の夫を持つ私でも、自分の家を持てる時が本当に来るとは想像してもいませんでした。家を建てることになり、いざ土地探しを始めてみると、予算・子供の学校の通学といった条件がからんでなかなか難しく、納得できる土地に巡り合うまで一年近くかかりました。空いた時間に現場で土を運んだり子供の夏休みには家族総出で塗装作業に参加したり、と、自分達で建てる大変さと充実感を味わうことができました。また、工事費を抑えることにも役立ち、うれしかったです。家に対する私の希望は、開放的で床に段差がないこと、だけでした。でもせっかくの機会なので、生活を見つめ直し、優先順位を付けて必要度の低いものは造らないよう、それでも必要だと思ったものは後から造ると決めて取捨選択していきました。そうして完成した家に住み始めて、今、お気に入りの場所が沢山できています。「私たち家族らしい家」ができたことに満足し、しみじみ感謝する毎日です。
>建築家からのコメント<
建築家が自邸を建てて、初めて分ることが多々あります。家を建てるということは、限られた資金で家族が希望するものをいかに実現するか、が大きなテーマとなりますが、その希望というのが人生のなかで育まれた習慣的な考え方(リビングルームや個室があって当然、というような)に少なからず影響されているということです。自邸の設計に当たって、思い切りよく、割り切った考え方で計画を進めるうちに、10年後、20年後、30年後・・・の家族の生活にとって何が大切かを考えるようになりました。結局、「そこでどう過ごすか」という、自分たちの身の丈にあった生活についてじっくり考え、さらに「どうやって楽しく住めるか」を検討することが、一世一代の家づくりにおいて最も大切なことなのではないでしょうか。また今回、工事をCM(直営)方式として工事ごとに材料と職人を手配することを試みました。土入れから壁の断熱材入れ、塗装などの施工を家族や所員と行ってセルビルドの比率を高め、コストを抑えつつ手づくりの充実感を得ることができたと思います。